2025年 1月 16日

妊娠中にどのくらい体重は増える？

妊娠中は赤ちゃんや羊水の重さだけでなく、授乳に備えておっぱいが大きくなったり出産に備えて血液量が多くなったりするので、出産までにおおよそ7~15kgほど体重が増えます。

経産婦さんだと「体重管理がきつかった！」「体重が増えすぎて健診で怒られた！」という思い出があるかもしれませんね。

今回は体重増加の目安や太りすぎ・痩せすぎがもたらすリスクについて紹介します。

従来の健診では妊娠中の体重増加は妊娠高血圧症候群、耐糖機能異常、難産、巨大児のリスクにつながることから、体重増加量が基準を超えないよう厳格に指導されてきました。

しかし日本ではむしろ低体重出生児が多いことから2021年に新しい基準が策定され、個人差を考慮した緩やかな指導を心がけるという方針に変更されました。

普通体重(BMI18.5~25.0)であれば妊娠前の体重から7-10kgだった基準が10-13kgに変更されています。

※BMIは「体重kg/身長m^2」で求められます。計算が煩雑なので計算サイトの使用を推奨です。

体重が増えすぎると妊娠高血圧症候群、耐糖機能異常、難産、巨大児のリスクがあります。

妊娠高血圧症候群は妊娠をきっかけとして妊娠20週以降に発症した高血圧症候群を指します。

基準は収縮期血圧が140mmHg以上（重症では160 mmHg以上）、あるいは拡張期血圧が90mmHg以上（重症では110 mmHg以上）です。
多くの場合たんぱく尿(尿中に蛋白が1日当たり0.3g以上出ること)も認められます。

妊婦さん20人に1人に発生しますが、赤ちゃんに酸素が送りにくくなり発育が阻害される「胎児発育不全」、陣痛前に胎盤が子宮からはがれてしまう「常位胎盤早期剝離」などのリスクが高まる病気です。

ご自身が糖尿病、高血圧、腎臓の病気である、肥満、母体の年齢が高い（40歳以上）、家族に高血圧の人がいる、多胎妊娠、初産婦、妊娠高血圧症候群の既往がある場合は妊娠高血圧症候群を発症しやすいので特に体重管理に注意が必要です。

妊婦さんが低体重であったり、妊娠中の体重増加が少なすぎたりすると赤ちゃんの成長が思うようにいかず、胎児発育不全や低体重出生のリスクが高くなります。

近年やせの妊婦さんが多いことが問題になっており、妊娠前からの健康管理が必要であるとされています。

「小さく生んで大きく育てろ」という言葉がありますが、低体重出生は赤ちゃんにとって良い影響は与えません。
発育や発達の遅延は合併症がない場合1年以内に追いつくとされています。しかしながら大人になってからも生活習慣病を発症しやすいなどの影響は残ってしまいます。

細い脚やきれいなウエストラインは女性のあこがれかもしれませんが、瘦せすぎは女性ホルモンの分泌を阻害してしまうため、妊娠していなくとも健康に支障が出てしまうことがあります。
妊娠中は特に赤ちゃんにも影響を及ぼしてしまうので偏りなく赤ちゃんが育つための十分な栄養素を摂れるよう心がけましょう。

妊娠中の体重増加について説明しました。基準が新しくなったことで体重管理は以前ほど厳しくなくなったようですね。

しかしながら赤ちゃんの健康のためにもお母さんの健康のためにも、太りすぎ痩せすぎには妊娠前から気を付ける必要があります。

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