非常時に備える「コップ授乳」のススメ

完母でも液体ミルクは用意しておこう

ストレスがかかると普段授乳している人でも一時的に母乳が出なくなってしまうこともあります。

能登半島地震の影響で現在缶入りの液体ミルクの需要は2倍とも言われており、非常時の液体ミルクの需要の高さが分かりますね。

最近では非常時の備えとして粉ミルクではなく缶入りの液体ミルクを普段から使っている産院もあります。非常用の食糧を非常食として確保しておくのではなく、普段から普通に食べているものを多めに購入して保管しておくことを「ローリングストック」と言います。缶ミルクは通常温めて飲ませますが非常時は常温で飲ませることも可能で、液体ミルクのローリングストックは多くの赤ちゃんが常に滞在する産院にとって効果的な災害対策なのです。

母乳が出なくなってしまうのは一時的なものでマッサージやストレスの解消によってまた授乳を再開することはできます。
ただし、授乳再開までの間は液体ミルクや粉ミルクを使って栄養を補う必要があります。

 

液体ミルクと粉ミルクの違い

ベビー用品コーナーでよく見かけるのは大きめの缶に入った粉ミルクやキューブタイプの固形粉ミルクですね。粉ミルクは煮沸したお湯で作るため、清潔な水とそれを煮沸消毒できる環境、そして哺乳瓶と乳首を消毒する方法が必要になります。

液体ミルクの多くは200mlほどの小さめの缶に入っています。通常時は湯煎してから哺乳瓶に移して飲ませることが想定されています。

液体ミルクが非常時に適しているポイントは使い捨て乳首のアタッチメントを直接液体ミルクの缶に装着することで、哺乳瓶の消毒なしに授乳することができる点です。
また、紙コップを使った授乳も可能であるため、哺乳瓶がないもしくは哺乳瓶を消毒できる水が用意できない場合でも授乳をすることができます。

 

コップ授乳のやり方

①できるだけ清潔な紙コップ・コップを用意します(紙コップの再利用はできません)

②紙コップの半分までミルクを注ぎます

③赤ちゃんの手がコップに当たるのを防ぐため、タオルなどで赤ちゃんの身体全体を包みます

④よだれかけやガーゼを赤ちゃんのあご下に挟みます

⑤赤ちゃんをまっすぐ起こした状態かやや傾いた状態にします(むせやすいので寝かさない)

⑤コップのフチを赤ちゃんの下唇に当てる

⑥少しずつ傾けて上下の唇を湿らせるようにする(傾けすぎに注意)

 

コップ授乳は月齢に関わらず実施することが可能です。

非常時の物資の備えも大切ですが、ママも赤ちゃんもいざとなった時に初めて缶ミルクやコップ飲みにチャレンジするのではなく、普段から慣れておくことが大事です。

ミルク嫌いの赤ちゃんや哺乳瓶の乳首にこだわりがある赤ちゃんもいます。我が子の傾向を把握して、搾乳した母乳を哺乳瓶で与えてみる、まずは温かい状態の缶ミルクから挑戦してみるなど段階を踏みながら慣らしていきたいですね。

 

<参考文献>
株式会社明治 災害時に備えて
https://www.meiji.co.jp/baby/hohoemi/rakurakumilk/disaster/